ToMMoは、6月19日(水)に東北メディカル・メガバンク機構 シンポジウム 「10万人の全ゲノム情報と個別化ヘルスケアの未来」を東京にて開催しました。会場には143名、オンラインには326名の方々にご参加いただきました。
来賓挨拶
山本 雅之機構長からの開会の挨拶に続き、来賓の方々からご挨拶をいただきました。
まず、文部科学省 文部科学副大臣 今枝 宗一郎様より、今回の産学連携の成果とこれまでの東北メディカル・メガバンク(TMM)計画の実績および地域住民の皆様に対する感謝の言葉、そしてバイオバンクが国の健康・医療戦略およびバイオエコノミー戦略において研究基盤のひとつとして位置づけられていること、バイオバンクの利活用によりさらなる成果の創出を期待していることが述べられました。
次に内閣府健康・医療戦略推進事務局 事務局長 中石 斉孝様からは、東日本大震災後、復興庁の立ち上げに携わったご自身のご経験から、当時東北の未来のために誕生したこのプロジェクトが、各国で進んでいるヒトゲノム解析に肩を並べるまでに成長したこと、さらにここから日本発の成果が生まれようとしていることへの喜びの言葉が述べられました。
次に日本医療研究開発機構 プログラムスーパーバイザー 和田 隆志先生がオンラインでご登壇されました。TMMのこれまでのあゆみを詳細に紹介していただき、今回の10万人のゲノム解読が前倒しで実現できたこと、これまでの豊富な利活用の実績を高く評価するお言葉をいただきました。
最後に岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM) 機構長 佐々木 真理先生より、これまでの全ゲノム解析、全ゲノムリファレンスパネルの拡充の道のりを引き合いに、密に連携しているIMMにしかわかり得ないここまでの苦労と努力を労っていただきました。そしてこの後に続く講演への期待も述べていただきました。
講演1
ご挨拶を頂いた後に、ToMMoより講演をさせていただきました。
まず「全ゲノム解析が切り拓く個別化ヘルスケアの未来」と題して、山本 雅之機構長より、ToMMoの紹介とこれまでの道のり、そしてゲノム解析とゲノムを活用した予防、医療の重要性をご説明しました。
次に「10万人全ゲノム解析の現状と今後の展望」と題して木下 賢吾副機構長より、10万人全ゲノム解析の達成と新規情報を含めたその詳細、そして解析結果の利活用についてご紹介しました。
ToMMoからの講演の後、「全ゲノム情報と医療・健康情報の統合解析コンソーシアム」参画企業の皆さまそれぞれからお言葉をいただきました。
左から、エーザイ株式会社 池森 恵様、小野薬品工業株式会社 吹田 直政様、第一三共株式会社 奈良原 舞子様
池森様からは「10万人を成し遂げたことは理屈ではない、信念だ」、吹田様からは「世界中の製薬会社がヒトゲノムデータへのアクセスに頭を悩ませている中、幸いなことにこのコンソーシアムに参加できた」、奈良原様からは「世界中で百万人、数十万人のゲノム解析を実施している中これはゴールではなく通過点だ」というお言葉をいただきました。
左から、武田薬品工業株式会社 蓮岡 淳様、ヤンセンファーマ株式会社 岡田 欣也様
蓮岡様からは「2020年にT0MMo-タケダで1万人の共同研究を開始した際は、10万人のゲノム基盤への発展が大きな夢だった。今その夢が実現し、大変感慨深い」、岡田様からは「この成果は人類共通の知見であり、ますますの発展を祈願する」というお言葉をいただきました。
各社共通していたのは、これからはゲノム解析結果を利用して成果を出す創薬のフェーズだ、という意気込みです。個別の疾患での具体的な成果が示され、すでに次の段階に進んでいることを実感しました。
講演2
休憩を挟み、ゲスト講演を行いました。
最初に「バイオバンク・ジャパンにおけるオミクス解析」と題して、日本を代表する疾患バイオバンクであるバイオバンク・ジャパン代表の松田 浩一先生に、食道がんや2型糖尿病等の発症にかかわる遺伝および環境リスク因子の解析をはじめとする最新の研究のほか、TMMのピロリ菌情報付帯ゲノムデータを活用した消化性潰瘍の研究事例から、バイオバンク間の連携の重要性をお示しいただきました。
次に「がん個別化医療開発への全ゲノム解析データの応用」と題して、国立がん研究センター東病院名誉院長の大津 敦先生より、がん研究・医療への応用という視点から、遺伝性腫瘍の予防や診断、治療薬開発への、全ゲノム解析データの応用可能性についてお話しいただきました。今後の展望として、TMMのデータを含むマルチオミックスデータを用いたがん存在・がん種予測AIの構築に向けた共同研究の構想についても紹介されました。
次に「希少疾患と全ゲノム解析」と題して、慶應義塾大学 教授の小崎 健次郎先生から、希少疾患の診断や治療に、全ゲノム解析データがどのように活用されるのかをご説明いただきました。従来の検査法では診断がつかなかった「未診断疾患」について、疾患原因となるバリアントの特定のため精確な参照配列が重要であることから、先日公開されたJG3.0をご紹介いただきました。
次に「Accelerating data-driven health insights through population genomics」と題して、イルミナ株式会社日本法人の代表取締役Arjuna Kumarasuriyar様から、安全性の高いデータ共有、公的バックアップの体制、創薬におけるゲノム情報の活用を中心とする産学連携の必要性について、各国の事例を参照しながら講演いただきました。
最後に、東北大学 青木 孝文理事・副学長より閉会の言葉として、来賓の皆さま、ご講演をいただいた先生方、そして来場者の方々への感謝の言葉と、東北大学はもちろん個人としてもToMMoに期待していることが述べられました。
シンポジウム全体を通して、改めてToMMoがこのようにたくさんの方々に支えられていること、皆さまの支えがあったからこそ、今回の成果に到達できたことを強く感じました。皆さまの気持ちに報いるべく、研究基盤として多くの成果を創出し続けることを誓う日となりました。
関連リンク
東北メディカル・メガバンク機構 シンポジウム 「10万人の全ゲノム情報と個別化ヘルスケアの未来」を開催します(6/19)
The post 東北メディカル・メガバンク機構 シンポジウム 「10万人の全ゲノム情報と個別化ヘルスケアの未来」を開催しました first appeared on 東北メディカル・メガバンク機構.