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心房細動の遺伝的リスクにおける性差に関する論文が掲載

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心房細動の遺伝的リスクにおける性差に関する論文が国際科学誌Heart Rhythm誌に掲載されました。

心房細動は最も頻度が高い不整脈であり、遺伝的なリスク因子と高血圧や喫煙、肥満などの後天的な(生まれた後に持つ)リスク因子の両方が関与することが報告されています。また、心房細動には性差があり、頻度は男性に多いですが、心房細動を発症すると脳梗塞になるリスクは女性の方が高いことが知られています。しかし、心房細動の遺伝的なリスクに関する性差についてはこれまで知られていません。
今回、宮城県で実施された東北メディカル・メガバンク計画・地域住民コホート調査(宮城)参加者約17,000人を対象とし、心房細動の遺伝的リスクと心房細動の有病の関連に性差があるかを横断研究により検討しました。
遺伝的なリスクとして、複数の遺伝子多型をスコア化したポリジェニックリスクスコアを用い、後天的なリスクとして、心房細動の既存のリスクスコアであるCHARGE-AFスコアを用いました。男女別に解析した場合、遺伝的リスク、後天的リスクが両方とも低い群を基準とすると、両方とも高い群・後天的リスクのみが高い群では、男女ともに心房細動有病のオッズ比が統計学的に有意に高くなりました(両方とも高い群におけるオッズ比:男性8.2、女性9.4、後天的リスクのみが高い群におけるオッズ比:男性3.4、女性4.4)。しかし、遺伝的リスクのみが高い群のオッズ比は、男性においては上昇したものの(オッズ比4.0、95%信頼区間2.4-7.2)、女性においては統計学的に有意な差はみられませんでした(オッズ比1.6、95%信頼区間0.7-4.1)。このことは、男性では遺伝的リスクのみでも心房細動の有病リスクが増加するのに対し、女性では遺伝的なリスクがあっても後天的なリスクがなければ、心房細動の有病リスクは増加しないことを示唆しています。

本研究により、遺伝的リスクと心房細動の関連には性差があり、男性でより遺伝的リスクと心房細動有病の関連が強いことが示唆されました。心房細動の個別化予防を行うにあたって、性別を考慮する必要がある可能性があります。遺伝的リスクが心房細動の予測能を上げることができるか今後縦断的な研究により明らかにする必要があります。

書誌情報

タイトル:Sex difference of genetic risk in the prevalence of atrial fibrillation
著者名:Sayuri TOKIOKA, Masato TAKASE, Naoki NAKAYA, Rieko HATANAKA, Kumi NAKAYA, Mana KOGURE, Ippei CHIBA, Kotaro NOCHIOKA, Hirohito METOKI, Tomohiro NAKAMURA, Mami ISHIKURO, Taku OBARA, Yohei HAMANAKA, Masatsugu ORUI, Tomoko KOBAYASHI, Akira URUNO, Eiichi N. KODAMA, Satoshi NAGAIE, Soichi OGISHIMA, Yoko IZUMI, Gen TAMIYA, Nobuo FUSE, Shinichi KURIYAMA, Satoshi YASUDA, Atsushi HOZAWA
掲載誌:Heart Rhythm
掲載日:2025年3月23日
DOI:https://doi.org/10.1016/j.hrthm.2025.03.1974

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