食物摂取頻度調査票(Food Frequency Questionnaire: FFQ)の妊婦における妥当性の検証に関する論文がJournal of Epidemiology に掲載されました。
ある一定期間における各食物の摂取頻度を尋ねるFFQから推定される摂取量は、どれだけ実際の摂取量と一致するかという度合い(妥当性)を検証する必要があります。東北メディカル・メガバンク計画のコホート調査でもFFQを使用していますが(以下、TMM-FFQ)、摂取した食品の重さを正確に秤量する秤量食事記録から測定された摂取量をゴールドスタンダードとして比較した結果、一般成人において妥当性を有することは先行研究ですでに確認されています。一方、東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査では妊婦さんに対してもTMM-FFQを使用していますが、妊婦さんにおける妥当性の検証は行われていませんでした。そのため、宮城県内に居住する妊婦さん122名を対象にTMM-FFQの妥当性を検討しました。
3日間秤量食事記録からのエネルギー・栄養素摂取量とTMM-FFQからのエネルギー・栄養素摂取量との相関についてSpearmanの順位相関係数を算出したところ、多くの食品群で0.30以上であり、エネルギー・44栄養素全体での中央値は0.41でした。3日間秤量食事記録からの食品群摂取量とTMM-FFQからの食品群摂取量との相関についてSpearmanの順位相関係数を算出したところ、多くの食品群で0.30以上であり、20食品群全体での中央値は0.35でした。
以上より、栄養素・食品群の摂取量に関し、TMM-FFQは妊婦さんを対象に疫学研究を行うために必要なある程度の妥当性があることが明らかになりました。この結果は、今後、三世代コホート調査において妊婦さんの栄養素・食品群の摂取量とご本人及び生まれてくるお子さんの健康状態との関連を検討する際の重要な基礎資料になると考えられます。
書誌情報
タイトル:Validity of a self-administered food frequency questionnaire for genomic and omics research among pregnant women: the Tohoku Medical Megabank Project Birth and Three-Generation Cohort Study
著者名:Keiko Murakami, Misako Nakadate, Taku Obara, Misato Aizawa, Ippei Takahashi, Mami Ishikuro, Aoi Noda, Hisashi Ohseto, Noriyuki Iwama, Masatoshi Saito, Ribeka Takachi, Shiori Sugawara, Yudai Yonezawa, Takahiro Yamashita, Shigenori Suzuki, Junko Ishihara, Masayuki Yamamoto, Shinichi Kuriyama
掲載誌:Journal of Epidemiology
早期公開日:2024年12月21日
DOI: 10.2188/jea.JE20240293