今回はGroningen大学(the Netherlands) のJochen O. Mierau教授をお迎えし、『Health Threats from within – Building Blocks for Health Policy』をテーマに講演いただきました。
Mierau先生は、現代の健康上のリスクが主に商業的利益から生じていることが問題であるとお話になりました。タバコや超加工食品、ソーシャルメディア、ギャンブルなどの多くの産業は、健康を損なう商品やサービスの過剰消費を促し、結果として回避可能な病気を生み出します。そのうえ、回避可能な病気の治療を通して医療企業が商業的利益を得るという二重の問題が生じています。
人々の健康を守るためには、こうしたビジネスモデルを規制する健康政策が必要となります。健全な社会や経済の基盤となる個人の健康は、人的資本や金融資本に並ぶ社会の重要な要素として評価されるべきであり、公衆衛生の向上は社会全体に利益をもたらします。そして社会経済的要因、物理的環境、健康行動、ヘルスケアの4つの要因に焦点を当てた健康政策が、健康寿命の延長や医療費の削減につながると述べられました。
また、Mierau先生がScientific Directorを務めるオランダの三世代コホート・Lifelinesでは、多世代にわたる健康データと生体試料が縦断的に収集されており、これらのデータが健康政策の評価や改善に活用されていることにもふれられました。
ハイブリッド形式で開催したセミナーには、ToMMo、INGEMのみならず、学内から多分野の教職員、医学系研究科の学生、83名の参加があり、質疑応答では活発な意見が交わされました。
関連リンク
7月23日(火)、INGEM & ToMMoセミナーシリーズで山梨大学大学院の大岡忠生先生が講演されました
7月19日(金)、INGEM & ToMMoセミナーシリーズで京都大学の黒田知宏先生が講演されました
Lifelines
東北大学 未来型医療創成センター