三世代コホート調査のデータに基づき、女性の産後の血圧値、高血圧の状況に関する論文が国際科学雑誌Hypertension Research誌に掲載されました。
妊娠高血圧症候群(HDP)は、妊婦さんの5~10%に認められる主要な産科合併症であり、出産後の高血圧のリスクにもなります。しかしながら、産後の血圧管理方法についてはまだ十分に確立されていません。本研究では、HDPの既往の有無でどの程度産後の血圧値が異なるかや、HDPの既往を含めどのような女性に産後の血圧評価が必要かを検討しました。
今回、三世代コホート調査に妊婦さんとして参加された7,343人を調査対象とし、共分散分析を行ったところ、HDP既往のない妊婦さんでは産後約3年での血圧値が107.3 ± 0.1 mmHg/69.9 ± 0.1 mmHgであったのに対し、HDP既往のある妊婦さんでは114.9 ± 0.3 mmHg/75.8 ± 0.3 mmHgと高い値が推定されました。また、過去の妊娠も含めて、HDPを一度でも経験している女性は、産後高血圧となる可能性が高い結果となりました。さらに、妊婦自身が低出生体重で生まれた場合、産後高血圧と弱い関連が認められました。
本研究により、これまでの妊娠において一度でもHDP既往がある場合と、妊婦自身が低出生体重で生まれている場合に、産後の高血圧のリスクとなり得る可能性が示唆されました。それぞれが産後の血圧管理の評価指標として重要項目の一つである可能性が考えられます。
書誌情報
タイトル:Subsequent high blood pressure and hypertension by hypertensive disorders of pregnancy: the Tohoku Medical Megabank Project Birth and Three-Generation Cohort Study
著者名:Ishikuro M, Obara T, Hasegawa M, Murakami K, Ueno F, Noda A, Onuma T, Matsuzaki F, Iwama N, Kikuya M, Sugawara J, Azegami T, Nakayama T, Mito A, Arata N, Metoki H, Kanda T, Kuriyama S
掲載誌:Hypertension Research
掲載日:2024年10月11日
DOI:10.1038/s41440-024-01936-9