この度、分子疫学分野の栗山進一教授らによる、三世代コホート調査(BirThree Cohort)をもとにした妊娠前および妊娠中の野菜・果実摂取と児の出生体重に関する論文がNutrition Journal誌に掲載されました。本研究はカゴメ株式会社との共同研究です。
出生体重が2,500グラム未満で生まれてきた児は、低出生体重児と呼ばれています。低出生体重児は、将来的な肥満や高血圧、Ⅱ型糖尿病などの疾患発症リスクが高いことが知られています。一方で、日本における低出生体重児は年々増加しており、OECD諸国の中で最も高い割合となっています。今回の論文では、妊娠前および妊娠中の野菜・果実摂取と児の出生体重・低出生体重リスクとの関連を検討しました。
本研究において、妊娠前および妊娠中の果実摂取と、児の出生体重の増加や低出生体重リスクの低下との関連が確認されました。その中でも特に、妊娠前から継続して果実摂取量が多い女性から生まれた児の出生体重が重かった、という結果が得られました。
これらの結果から、妊娠前および妊娠中の果実摂取が、児の出生体重の増加や低出生体重の予防、ひいては児の将来の健康維持および向上に寄与することが期待されます。
今後、本研究で明らかとなった果実摂取量が少ない層に対する適切なアプローチ法を模索し実行する必要があります。
書誌情報
タイトル:Fruit and vegetable consumption before and during pregnancy and birth weight of new-borns in Japan: the Tohoku medical megabank project birth and three-generation cohort study
著者名:Yudai Yonezawa, Taku Obara, Takahiro Yamashita, Junichi Sugawara, Mami Ishikuro, Keiko Murakami, Aoi Noda, Fumihiko Ueno, Shigenori Suzuki, Hiroyuki Suganuma, Shinichi Kuriyama
掲載誌:Nutrition Journal
Published: 03 August 2020
DOI: 10.1186/s12937-020-00595-z