この度、東北メディカル・メガバンク機構の三世代コホート調査(BirThree Cohort)に係る論文がInternational Journal of Epidemiology誌に掲載されました。
三世代コホート調査は出生コホートと家系付コホートデザインを融合させた世界初の研究デザインを採用し、母親の胎内における環境要因の曝露情報及び家族の遺伝情報と疾患罹患等の情報を収集して、遺伝要因と環境要因がどのように相互に作用し疾患を発症してくるのかを明らかにしようとしています。このことで、これまで多因子疾患といわれ、比較的強い遺伝要因をみつけることが難しかった疾患につきましても、これをみつけ、環境要因との相互作用を明らかにして、個々人に応じた医療、いわゆる精密医療(プレシジョン・メディシン)を実現しようとしています。
本論文では、三世代コホート調査を構築するにいたった経緯、最終的なコホート調査参加者数は73,529人であること、どのような曝露とアウトカムの測定を行っているのか、これまでに発見された知見、今後の展望などを報告しました。また、三世代コホート調査で収集された試料・情報は、バイオバンクとして研究者のみなさまにご活用いただくことで、妊娠高血圧症候群、低出生体重、アトピー性皮膚炎、自閉スペクトラム症、がん、循環器疾患、認知症などの疾患に対する新たな医療の実現に役立つものと考えられます。さらに、三世代コホート調査は、東日本大震災で被災された方々をはじめとしたみなさまの健康向上に貢献することが期待されています。
書誌情報
タイトル:Cohort Profile: Tohoku Medical Megabank Project Birth and Three-Generation Cohort Study (TMM BirThree Cohort Study): Rationale, Progress and Perspective
著者名:Shinichi Kuriyama, Hirohito Metoki, Masahiro Kikuya, Taku Obara, Mami Ishikuro, Chizuru Yamanaka, Masato Nagai, Hiroko Matsubara, Tomoko Kobayashi, Junichi Sugawara, Gen Tamiya, Atsushi Hozawa, Naoki Nakaya, Naho Tsuchiya, Tomohiro Nakamura, Akira Narita, Mana Kogure, Takumi Hirata, Ichiro Tsuji, Fuji Nagami, Nobuo Fuse, Tomohiko Arai, Yoshio Kawaguchi, Shinichi Higuchi, Masaki Sakaida, Yoichi Suzuki, Noriko Osumi, Keiko Nakayama, Kiyoshi Ito, Shinichi Egawa, Koichi Chida, Eiichi Kodama, Hideyasu Kiyomoto, Tadashi Ishii, Akito Tsuboi, Hiroaki Tomita, Yasuyuki Taki, Hiroshi Kawame, Kichiya Suzuki, Naoto Ishii, Soichi Ogishima, Satoshi Mizuno, Takako Takai-Igarashi, Naoko Minegishi, Jun Yasuda, Kazuhiko Igarashi, Ritsuko Shimizu, Masao Nagasaki, Osamu Tanabe, Seizo Koshiba, Hiroaki Hashizume, Hozumi Motohashi, Teiji Tominaga, Sadayoshi Ito, Kozo Tanno, Kiyomi Sakata, Atsushi Shimizu, Jiro Hitomi, Makoto Sasaki, Kengo Kinoshita, Hiroshi Tanaka, Tadao Kobayashi, Shigeo Kure, Nobuo Yaegashi, Masayuki Yamamoto, Tohoku Medical Megabank Project Study Group
掲載誌:International Journal of Epidemiology
Published: 25 August 2019
DOI: 10.1093/ije/dyz169