ゲノム解析部門 長﨑正朗 教授と河合洋介講師(現在は東京大学大学院医学系研究科人類遺伝学分野特任助教)は、神戸大学大学院と東京大学大学院の研究グループとともに、日本人の小児ステロイド感受性ネフローゼ症候群患者のゲノムを解析し、疾患感受性遺伝子がHLA-DR/DQ領域に存在することを見出し、小児ネフローゼ症候群の発症と最も関連の強いHLAリスクハプロタイプを同定しました。この研究成果によって、小児ネフローゼ症候群の発症機序の解明が期待されます。
長﨑正朗教授らは、東北メディカル・メガバンク機構で開発を行ったジャポニカアレイ®v1を用いて小児ステロイド感受性ネフローゼ症候群の解析を行いました。解析において、コホート参加者の一般集団の全ゲノムリファレンスパネル(2KJPN)を用いて全ゲノム復元技術を適用しています。これにより、関わる免疫に関連する遺伝子が集積している領域の中でより関与が強いと思われる小児の慢性腎疾患発症のリスク要因の遺伝子を同定することに成功しました。
この研究成果は、2018年7月16日午後5時(米国東部時間)に、国際科学誌「Journal of the American Society of Nephrology」にオンライン公開されました。
【論文情報】
タイトル:Strong Association of HLA-DR/DQ Locus with Childhood Steroid-Sensitive Nephrotic Syndrome in the Japanese Population
(HLA-DR/DQ領域は日本人小児ステロイド感受性ネフローゼ症候群の発症に強い関連を持つ)
著者:Xiaoyuan Jia, Tomoko Horinouchi, Yuki Hitomi, Akemi Shono, Seik-Soon Khor, Yosuke Omae, Kaname Kojima, Yosuke Kawai, Masao Nagasaki, Yoshitsugu Kaku, Takayuki Okamoto, Yoko Ohwada, Kazuhide Ohta, Yusuke Okuda, Rika Fujimaru, Ken Hatae, Naonori Kumagai, Emi Sawanobori, Hitoshi Nakazato, Yasufumi Ohtsuka, Koichi Nakanishi, Yuko Shima, Ryojiro Tanaka, Akira Ashida, Koichi Kamei, Kenji Ishikura, Kandai Nozu, Katsushi Tokunaga, Kazumoto Iijima, for the Research Consortium on Genetics of Childhood Idiopathic Nephrotic Syndrome in Japan
DOI:10.1681/ASN.2017080859
掲載誌:Journal of the American Society of Nephrology
関連リンク
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