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ゲノム解析部門の三森隆広助手、長﨑正朗教授らのclass I HLA 遺伝子の配列決定に関する論文がPharmacogenomics Journal誌に掲載されました。

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ゲノム解析部門の三森隆広助手、黒木陽子非常勤講師、安田純教授、長﨑正朗教授らは、日本人のclass I HLA 遺伝子を従来よりも長い領域で決定しました。その成果は Pharmacogenomics Journal誌に2018年1月19日に掲載されました。

 地域住民コホート調査の参加者のうち、短鎖型シークエンサーの Illumina HiSeqによる解析だけでは決定できなかった208名分のDNAを長鎖型シークエンサーのPacBio RS IIにより解析し、疾患の関連解析に必要となる日本人のclass I HLA 遺伝子(HLA-A, HLA-B, HLA-C, HLA-H)の配列を従来よりも長い領域で決定しました。この研究では、上記4つのclass I遺伝子の全領域のゲノム配列を一度に解読するマルチプレックスシークエンスを採用し、最大で192人分の配列を同時に解析する実験システムを構築しました。また、シークエンスデータのアセンブリ解析によって139本の HLA 配列の全長を同定し、データベース(IPD-IMGT/HLA release 3.24)との比較によって40 本が新規の遺伝子型と見なせることを確認しました。HLA領域は「主要組織適合遺伝子複合体」と呼ばれる遺伝子群をコードする領域で、骨髄移植などの際に適合性の確認の為に必要な情報である一方、民族特異的な多型が多いことから人類遺伝学的にも貴重な情報です。また、慢性関節リウマチなど多くの疾病とも強い関連が知られています。

これまでHLAに関するデータベースに登録されていた配列は、サンガー法によるものが多く、数百塩基の長さの配列をいくつも統合してつくられた、平均長3000-3500 bp程度の配列データでした。また、従来の短鎖型シークエンサーによる解析では、既知の HLA配列との照合は可能でしたが、新規の配列を同定することは困難でした。本研究では、最大数万塩基のリード長を持つ長鎖型シークエンサーの PacBio RS II を活用し、4000-5200 bp程度と従来よりも長い領域で配列を決定することができました。結果として、既知の領域における新たな多型に加え、転写調整領域の多型や、複数の遺伝子多型が同一の染色体上に存在することを明らかにしました。

本研究で得られた結果は、高精度のHLA型推定に加え、臓器移植や各種疾患の病態解明への活用が期待されます。

 

■論文
Construction of full-length Japanese reference panel of class I HLA genes with single-molecule, real-time sequencing
掲載誌:The Pharmacogenomics Journal
DOI: 10.1038/s41397-017-0010-4
著者: Takahiro Mimori, Jun Yasuda, Yoko Kuroki, Tomoko F. Shibata, Fumiki Katsuoka, Sakae Saito, Naoki Nariai, Akira Ono, Naomi Nakai-Inagaki, Kazuharu Misawa, Keiko Tateno, Yosuke Kawai, Nobuo Fuse, Atsushi Hozawa, Shinichi Kuriyama, Junichi Sugawara, Naoko Minegishi, Kichiya Suzuki, Kengo Kinoshita, Masao Nagasaki, Masayuki Yamamoto


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