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嗅覚、認知機能検査と海馬、扁桃体の灰白質萎縮との関連性についての論文が掲載

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認知機能検査に嗅覚検査を加えることで、記憶関連の脳領域の萎縮度合いの推定精度の向上に寄与する可能性を示した論文がこの度、Scientific Reports誌に掲載されました。

ToMMoの脳と心の健康調査のアドオンコホートとして、バニラ、雑巾、キャラメル、スペアミント、靴下、黄桃の6種類のにおいを用いた嗅覚検査を実施しました(2019年8月27日~2021年3月30日)。
参考:嗅覚と遺伝子多型、嗅覚と脳画像・認知機能に関するアドオンコホートを開始【プレスリリース】

このアドオンコホートから得られた、嗅覚検査データ(3段階の臭気強度利用)、認知機能検査(MoCA-J*1データ)、脳MRIデータを用い、記憶関連の脳領域である左右の海馬、扁桃体、海馬傍回、嗅皮質の灰白質比*2と嗅覚検査スコア*3との関連性を、認知機能検査スコア、年齢、性別、教育期間、喫煙歴を調整因子にして、重回帰モデルにより分析しました。その結果、左海馬、右海馬、左扁桃体、65歳以上の右扁桃体の灰白質比が嗅覚検査スコアと有意に関連することを示しました。本結果が、少ないにおい種(スペアミントと靴下の2種類)を用いた簡便な嗅覚検査導入により、海馬、扁桃体の灰白質の萎縮推定の精度向上に貢献することを期待しています。

本研究は豊田中央研究所との共同研究で実施されました。

*1 MoCA-J:The Japanese version of the Montreal Cognitive Assessment
*2 全頭蓋内容積に対する、各脳領域の灰白質容積の比率
*3 認知機能障害の識別性能が高いスペアミントと靴下のにおいの合計スコア(Sato, et al. Association between olfactory test data with multiple levels of odor intensity and suspected cognitive impairment: a cross-sectional study. Journal of Alzheimer’s Disease, Vol. 95 No 4, 2023.)

書誌情報

タイトル:Association of olfactory and cognitive function test scores with hippocampal and amygdalar grey matter volume: a cross‑sectional study
著者名:Shuichi Sato*,Takao Imaeda, Shunji Mugikura, Naoko Mori, Masaki Takanashi, Kazumi Hayakawa, Tomo Saito, Makiko Taira, Akira Narita, Mana Kogure, Ippei Chiba, Rieko Hatanaka, Kumi Nakaya, Ikumi Kanno, Ryosuke Ishiwata, Tomohiro Nakamura, Ikuko N. Motoike, Naoki Nakaya, Seizo Koshiba, Kengo Kinoshita, Shinichi Kuriyama, Soichi Ogishima, Fuji Nagami, Nobuo Fuse, Atsushi Hozawa*.
*: Corresponding authours
掲載誌:Scientific Reports
公開日:2024/8/19
DOI:10.1038/s41598-024-69726-4

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