Quantcast
Channel: 東北メディカル・メガバンク機構
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2261

“健康的な生活習慣が新型コロナウイルス感染と新型コロナワクチン接種の効果にどのように相互作用するのか”について検討した論文が掲載

$
0
0

東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査参加者(成人11,016名)の、健康的な生活習慣と、新型コロナウイルス感染および新型コロナワクチン接種の効果との関連を検討した論文が、JMA Journal誌に掲載されました。

これまで、新型コロナウイルス感染症に対する、感染前の生活習慣と新型コロナワクチン接種との相互の関連を検討した研究は限られておりました。また、初回接種(1・2回目)および3回の追加接種、合わせて5回のワクチン接種を評価した研究はありませんでした。したがって、今回、“ワクチン接種回数と感染リスクとの関連”と“ワクチンの接種回数が同じでも、健康的な生活習慣がある人は、新型コロナウイルス感染のリスクがより低減する可能性”を検討するために、解析を行いました。

東北メディカル・メガバンク計画コホート調査の追跡調査として、自治体の協力のもと、新型コロナウイルス感染とワクチン接種情報を収集し、三世代コホート調査参加者の生活習慣等のベースライン調査(2013年から2017年にかけて実施した1回目の健康調査)の回答(運動習慣、喫煙・飲酒行動、睡眠状態、BMI、朝食摂取)とを突合し解析を行いました。
新型コロナウイルスワクチン接種状況に合わせて、初回接種および1回の追加接種が実施されていた2021年4月から2022年5月を第1期、2回目以降の追加接種が実施されていた2022年6月から2023年5月までを第2期として、生活習慣および新型コロナワクチン接種がどのような相互作用で感染に影響していたのかを検討した結果、第1期では、“ワクチンを3回接種したグループ”では、“睡眠に満足している”人はそうでない人と比べて感染リスクが低くなっていましたが、第2期では、そのような健康的な生活習慣の有無にかかわらず、ワクチンの接種回数が多いほど、特に5回接種したグループの感染リスクが有意に低下する関係を確認しました。
このことから、健康的な生活習慣による感染への影響は、第1期ではわずかに確認はされましたが、感染が拡大していた第2期では生活習慣による感染への影響は限定的であり、むしろ、ワクチン接種回数の多さが新型コロナウイルスの感染リスク低減に有意に関連していました。今回の結果から、今後発生しうる、大規模な感染症の流行下(パンデミック)での対策では、感染者数の拡大状況など、時期により、健康的な生活習慣の感染症罹患への影響が異なってくることを念頭に置く必要があることが示唆されました。

今回の研究は、自治体の皆さまから多大なご協力をいただいたことにより、円滑かつ迅速に新型コロナウイルス感染・ワクチン接種に関する解析を行うことができました。

書誌情報

タイトル:How Healthy Lifestyle Habits Have Interacted with SARS-CoV-2 Infection and the Effectiveness of COVID-19 Vaccinations: Tohoku Medical Megabank Project Birth and Three-Generation Cohort Study
著者名:Masatsugu Orui,Taku Obara,Mami Ishikuro,Aoi Noda,Genki Shinoda,Keiko Murakami,Tomohiro Nakamura, Hirohito Metoki, Soichi Ogishima, Yoko Izumi, Naoki Nakaya,Atsushi Hozawa, Tadashi Ishii, Fuji Nagami, Masayuki Yamamoto, Shinichi Kuriyama
掲載誌:JMA Journal
掲載日:2024年7月16日
DOI: 10.31662/jmaj.2024-0043

The post “健康的な生活習慣が新型コロナウイルス感染と新型コロナワクチン接種の効果にどのように相互作用するのか”について検討した論文が掲載 first appeared on 東北メディカル・メガバンク機構.

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2261

Trending Articles