東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査(BirThree Cohort)をもとにした「日本人を対象としたつわりの遺伝的背景」に関する論文がBMC Pregnancy and Childbirth誌に掲載されました。
つわりは約80%の妊婦が経験する一般的な症状であり、母親や胎児の健康に大きな影響を与えます。つわりは遺伝的要素の高い症状であることが報告されていますが、ヨーロッパに祖先を持つ集団を対象とした研究が大多数を占めており、我々の知見では日本人を含む東アジアに祖先を持つ集団を対象とした研究は報告されていませんでした。本研究では、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を用いて日本人を対象としたつわりの遺伝的背景を検討しました。
本研究より、二つの異なる遺伝子座(11q22.1と19p13.11)においてつわりに関連するバリアントが存在することが明らかとなりました。ヨーロッパに祖先を持つ集団を対象とした先行研究においても、これらの遺伝子座にあるバリアントがつわりと関連することが報告されており、これまでに報告された研究結果をさらに広く一般化できる可能性が示唆されました。これらの結果から、同定された遺伝子座の関連タンパク質を標的とした治療法の開発や、予測・診断のための新たな方法の開発が期待されます。
書誌情報
タイトル: Genome-wide association study of nausea and vomiting during pregnancy in Japan: the TMM BirThree Cohort Study
著者名: Yudai Yonezawa, Ippei Takahashi, Hisashi Ohseto, Fumihiko Ueno, Tomomi Onuma, Aoi Noda, Keiko Murakami, Mami Ishikuro, Taku Obara, Shinichi Kuriyama
掲載誌: BMC Pregnancy and Childbirth
公開日: 2024年3月20日
DOI: 10.1186/s12884-024-06376-4