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地域住民コホート調査から高血圧の危険因子と収縮期血圧の関連に関する論文が掲載

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東北メディカル・メガバンク計画地域住民コホート調査において、収縮期血圧(Systolic Blood Pressure:SBP)と高血圧の危険因子(年齢、Body mass index:BMI*1、喫煙、飲酒、身体活動、食塩摂取量、尿中カリウム排泄量、Gamma-glutamyl transferase:GGT*2)の関連について解析しました。さらに、近年利活用が進んでいる、カリウム摂取を組み合わせて評価できる指標である尿中ナトリウム/カリウム比とSBPの関連を解析し、結果をまとめた論文がHypertension research誌に掲載されました。

高血圧治療ガイドライン*3において、高血圧の危険因子として、年齢、BMI、喫煙、飲酒、身体活動、食塩の過剰摂取、カリウム摂取不足などが挙げられています。しかし、先行研究において、詳細に高血圧の危険因子とSBPの関連を性別に検証し、図示することで、それらの関連の直線性を示した研究はありませんでした。また、肝機能指標として広く用いられており、飲酒や脂肪肝の代理マーカーとして使用されるGGTは、高血圧と関連することが示唆されていましたが、日本人を対象にGGTとSBPの関連を検討した研究は限られていました。そこで、地域住民コホート調査の約60,000人の大規模なデータを用いて、高血圧の危険因子およびGGTとSBPの関連について、詳細に検討しました。

本研究において、男女とも、年齢、BMI、食塩摂取量、GGTはそれぞれ、値が高ければ高いほどSBPの値が高くなる直線的な関連が認められました。一方で、尿中カリウム排泄量が高いほど、SBPの値が低い関連が認められました。また、他の高血圧の危険因子と独立して、尿中ナトリウム/カリウム比が高いほど、SBPが高くなる直線的な関連が認められました。飲酒については、非飲酒者と比較して、1日1合以上の飲酒で有意にSBPの値が高くなっていました。身体活動については、有意な関連は認められず、喫煙歴については、非喫煙者と比較して、現在喫煙者でSBPの値が低くなっていました。現在喫煙者でSBPが低い理由として、現在喫煙者では、まだ顕著な健康問題を経験していない、比較的健康的な方が多く含まれている可能性があります。本研究は横断研究であるため、喫煙が血圧を下げるという直接的な因果関係を示すものではありません。引き続き、長期的な研究を行い、喫煙だけでなくGGTなどの高血圧の危険因子を含め血圧の関連について明らかにしていく必要がありますが、高血圧の予防のため、減塩、カリウムの積極的摂取、適正体重の維持、節酒などが重要であることが改めて示されました。

*1:Body Mass Index(BMI):(体重(kg)を身長(m)の2乗で割った指標、体格の指標として広く用いられる)が25.0kg/m2未満と定義
*2:Gamma-glutamyl transferase (GGT) :肝機能指標として広く用いられており、飲酒や脂肪肝の代理マーカーとして使用され、特定健康診査でも検査が可能
*3:高血圧治療ガイドライン2019:日本高血圧学会の出版物案内の「PDF版 公開について」を参照

書誌情報

タイトル:Relationship between traditional risk factors for hypertension and systolic blood pressure in the Tohoku Medical Megabank Community-based Cohort Study
著者名:Masato Takase, Naoki Nakaya, Kozo Tanno, Mana Kogure, Rieko Hatanaka, Kumi Nakaya, Ippei Chiba, Ikumi Kanno, Kotaro Nochioka, Naho Tsuchiya, Tomohiro Nakamura, Takumi Hirata, Taku Obara, Mami Ishikuro, Yuka Kotozaki, Akira Uruno, Tomoko Kobayashi, Eiichi N Kodama, Yohei Hamanaka, Masatsugu Orui, Soichi Ogishima, Satoshi Nagaie, Hideki Ohmomo, Nobuo Fuse, Junichi Sugawara, Atsushi Shimizu, Yoko Izumi, Shinichi Kuriyama, Atsushi Hozawa, and the ToMMo investigators.
掲載誌:Hypertension research
公開日:29 February 2024
DOI:10.1038/s41440-024-01582-1

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