妊婦初期における麻黄含有漢方薬の使用と児の先天形態異常に関する論文がDrugs – Real World Outcomes誌に掲載されました。
葛根湯や小青竜湯といった麻黄を含む漢方薬は、妊娠中のかぜ症状に対し使用されることがあります。麻黄に含まれるエフェドリンという成分には催奇形性のリスクがあるとする研究もありますが一貫した結論は得られておらず、麻黄を含む漢方薬の使用と児の先天形態異常との関連は不明でした。そこで、三世代コホート調査のデータを用いて、妊娠初期の麻黄含有漢方薬の使用と児の主な先天形態異常(major congenital malformations:MCMs)との関連を検討しました。
妊娠中の使用の安全性が確立している感冒薬の一つであるアセトアミノフェンを妊娠初期に使用した妊婦とその児を比較群として、妊娠初期における麻黄含有漢方薬の使用と児のMCMsとの関連を評価しました。妊娠初期にアセトアミノフェン、麻黄含有漢方薬を使用した妊婦の割合はそれぞれ3.19%、1.80%で、MCMsのあった児の割合は1.65%、2.13%でした。妊娠初期にアセトアミノフェンを使用した妊婦の児と、妊娠初期に麻黄含有漢方薬を使用した妊婦の児との間で、MCMsとの関連について、交絡因子を補正しても統計学的に有意な差は見られず、妊娠初期における麻黄を含む漢方薬の使用とMCMsのリスクとの間に関連がないことが示唆されました。
書誌情報
タイトル:Risk of Major Congenital Malformations Associated with the Use of Japanese Traditional (Kampo) Medicine Containing Ephedra During the First Trimester of Pregnancy
著者名:Aoi Noda, Taku Obara, Fumiko Matsuzaki, Satoko Suzuki, Ryutaro Arita, Minoru Ohsawa, Ryo Obara, Kei Morishita, Fumihiko Ueno, Genki Shinoda, Masatsugu Orui, Keiko Murakami, Mami Ishikuro, Akiko Kikuchi, Shin Takayama, Tadashi Ishii, Hiroshi Kawame, Shigeo Kure, Shinichi Kuriyama
掲載誌:Drugs – Real World Outcomes
公開日:19 January 2024
DOI:10.1007/s40801-023-00411-0