不妊治療と年齢および妊娠高血圧症候群の関連に関する論文がJournal of Human Hypertensionに掲載されました。
以前より、不妊治療が妊娠高血圧症候群のリスクとなり得ることが報告されており、過去に東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査でも不妊治療と妊娠高血圧症候群が関連することを報告しました。しかしながら、特に年齢が高い方ほど不妊治療を受ける傾向があり、また、高年齢が妊娠高血圧症候群のリスクであることから、年齢が交絡している可能性も示唆されておりました。
そこで、三世代コホート調査も参画している全国出生コホートコンソーシアム [Japan Birth Cohort Consortium (JBiCC)]の4つの出生コホートによるメタ解析で35歳未満の妊婦さんと35歳以上の妊婦さんそれぞれで不妊治療と妊娠高血圧症候群との関連を検討した結果、35歳未満でも35歳以上でも、不妊治療で妊娠された方では、不妊治療を受けずに妊娠された方に比べて、妊娠高血圧症候群を発症した割合が高いことが明らかになりました。
不妊治療は保険適用が拡大しましたが、不妊治療を受けられた後、特に血圧のモニタリングを行い、高血圧の予防や早期発見による治療が重要であると考えます。
書誌情報
タイトル:Association between infertility treatment and hypertensive disorders of pregnancy in the Japan Birth Cohort Consortium: A meta-analysis
著者名:Mami Ishikuro, Tomoko Nishimura, Hiroyoshi Iwata, Hirohito Metoki, Taku Obara, Noriyuki Iwama, Keiko Murakami, Md. Shafiur Rahman, Maki Tojo, Sumitaka Kobayashi, Chihiro Miyashita, Keiko Tanaka, Yoshihiro Miyake, Kazue Ishitsuka, Reiko Horikawa, Naho Morisaki, Midori Yamamoto, Kenichi Sakurai, Chisato Mori, Atsushi Shimizu, Fumihiro Sata, Kenji J. Tsuchiya, Reiko Kishi, Shinichi Kuriyama; the Japan Birth Cohort Consortium
掲載誌:Journal of Human Hypertension
公開日:2024年1月10日
DOI:10.1038/s41371-023-00890-2