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地域住民コホート調査における抑うつ症状と仮面高血圧に関する論文が掲載

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地域住民コホート調査をもとにした抑うつ症状と仮面高血圧の関連に関する論文がHypertension Research誌に掲載されました。

仮面高血圧とは、診察室や検査室での血圧が正常範囲内であるにも関わらず、家庭で測定した血圧で家庭高血圧の基準(収縮期血圧135mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上)を満たすもののことを言います。仮面高血圧では心血管疾患のリスクが上昇するため、治療が必要とされています。しかし、仮面高血圧は診察室や検査室での血圧が正常であるために、見つかりづらく、診断されずに放置されている場合があります。仮面高血圧を診断するためには、家庭血圧の測定が必要であり、仮面高血圧のリスクが高い要因をもつ人に家庭血圧測定を行い、早期診断に結び付けることは重要です。
これまでの研究で仮面高血圧のリスク因子として、男性、喫煙、糖尿病、高血圧治療中、診察室血圧での正常高値が挙げられています。血圧はストレスや精神状態によっても左右されることが知られており、本研究では、検査室血圧が正常範囲内の人を対象として、抑うつ症状と仮面高血圧の関連を検討しました。抑うつ症状は自記式質問紙を用いた方法(The Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)で評価しました。
本研究の結果、抑うつ症状がある人では、抑うつ症状のない人に比べて、仮面高血圧の人の割合が高く、抑うつ症状と仮面高血圧には関連があることが明らかになりました。この関連は男性においてより強くみられました。

これまでの研究により、抑うつ症状のある患者では心血管疾患のリスクが高いことが知られています。本研究によって、抑うつ症状がみられている場合には、家庭血圧測定を行うことが仮面高血圧の早期発見、早期治療のために有用である可能性が示唆されました。ただし、本研究は横断研究であるため、抑うつ症状が仮面高血圧を引き起こすかどうか(因果関係)は明らかではありません。引き続き、長期的な研究を行い、因果関係についても明らかにしていく予定です。

書誌情報

タイトル:The association between depressive symptoms and masked hypertension in participants with normotension measured at research center
著者:Sayuri Tokioka, Naoki Nakaya, Kumi Nakaya, Mana Kogure, Rieko Hatanaka, Ippei Chiba, Ikumi Kanno, Kotaro Nochioka, Hirohito Metoki, Takahisa Murakami, Michihiro Satoh, Tomohiro Nakamura, Mami Ishikuro, Taku Obara, Yohei Hamanaka, Masatsugu Orui, Tomoko Kobayashi, Akira Uruno, Eiichi N. Kodama, Satoshi Nagaie, Soichi Ogishima, Yoko Izumi, Nobuo Fuse, Shinichi Kuriyama, Atsushi Hozawa
掲載誌:Hypertension Research
掲載日:2023年10月31日
DOI:10.1038/s41440-023-01484-8

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