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妊娠中の血中サイトカインと産後うつとの関係を発見【プレスリリース】

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発表のポイント

• 妊娠中に血中の多くのサイトカインレベルに変化が生じることは以前から知られ、胎児に対する母体の免疫反応の観点から捉えられてきました。今回は、産後うつに焦点を当て、妊娠中期と産後 1 ヵ月の妊産婦の血液中の代表的なサイトカインレベルを測定しました。
• 産後うつ症状を呈する母親の妊娠中の抗炎症サイトカイン(IL-10, IL-4) レベル は産後にうつ症状を呈しない母親と比べ有意に低い値を示しました。
• この研究結果は、産後うつの病態解明や、予防法などの開発に貢献すること
が期待されます。

概要

産後うつ病は産後 1 ヵ月の母親に現れる抑うつ症状を示します。精神疾患の多くはこれまでも免疫学的側面からの研究が行われてきていますが、産後うつに関しては大規模に解析を行った報告はほとんどありません。
東北大学大学院医学系研究科 兼 東北大学東北メディカル・メガバンク機構の富田博秋教授らのグループは、東北メディカル・メガバンク計画による三世代コホート調査に参加した妊産婦のうち、産後にうつ症状を呈する群と抑うつ症状を呈さない群において、妊産婦の妊娠中と産後の血漿中の代表的なサイトカインのレベルを比較しました。
その結果、抗炎症性サイトカイン(IL-4,IL-10)レベルは、産後にうつ症状を示す妊婦で有意に低い事が明らかになりました。この結果は妊娠中に産生される抗炎症サイトカインが産後の心の健康状態と関連している可能性を示しています。

本成果は 2023 年 6 月 15 日に医学分野の専門誌 Psychiatry and Clinical Neurosciences に掲載されました。

プレスリリース本文

書誌情報

タイトル:Association between low levels of anti-inflammatory cytokines during pregnancy and a postpartum depression
著者:小野千晶, 兪 志前, 小原 拓, 石黒 真美, 村上 慶子, 菊谷 昌浩, 菊地 紗耶, 小林 奈津子, 工藤 久智, 荻島 創一, 峯岸 直子, 菅原 準一, 栗山 進一, 山本 雅之,八重樫 伸生, 富田 博秋
掲載誌:Psychiatry and Clinical Neurosciences
掲載日:2023年6月15日
DOI:10.1111/pcn.13566

関連リンク

東北メディカル・メガバンク機構 長期健康調査

三世代コホート調査

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