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ロシア侵攻下のウクライナにおけるツイッターの分析 ―医療需要の増加とメンタルヘルス上の懸念を確認―【プレスリリース】

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発表のポイント

・戦時下のウクライナにおける医療やメンタルヘルスに関する状況を把握するため、ウクライナ語で発信された約9,850万件のツイートを分析した。
・ 2022年のロシアによるウクライナ侵攻直後、週平均ツイート数は3倍に増え、医療需要、戦禍、メンタルヘルスの状態等に関連するツイートは、比率にして侵攻前の4倍に増加した。
・ 慢性疾患の薬や輸血等に関するツイート、小児や高齢者などの災害時要配慮者に関するツイート、抑うつ状態や心的外傷後ストレス反応(PTSR)の兆候を表現する際に用いられる用語を含むメンタルヘルスに関連するツイートが増加し、多角的かつ国際的なさらなる支援が必要である状況が示された。
・ 今回得られたようなツイート情報は、今後の災害などの際、どの時期にどのような支援が必要かを検討する際の重要な基礎情報として利用できる可能性がある。

概要

2022年2月のロシア軍によるウクライナ侵攻開始以降、ウクライナの人々の生活環境の悪化が深刻に懸念されています。このたび、東北大学災害科学国際研究所の藤井進准教授をはじめとする研究チームは、ウクライナ語で発信された約9,850万件のツイートを分析し、戦時下のウクライナにおける、医療ニーズやメンタルヘルスに関する状況を把握する研究を実施しました。
侵攻直後にウクライナ語で発信されたツイート数は全体で約3倍に増加し、うち、医療やメンタルヘルスに関するツイート数は約4.4倍に増加していました。また、“糖尿病薬”という語を含むツイートは、侵攻直後、比率にして侵攻前の40倍以上に増加しており、被災時に要配慮者となる、“新生児”、“子供”、“高齢者”を含むツイートは、急性期、亜急性期、慢性期の全てで侵攻前より増えていました(1.03~3.57倍)。さらに“出産”を含むツイートは、亜急性期に侵攻前の8.08倍へと増えており、周産期医療に関するツイートも増加していました。メンタルヘルスに関連するツイートについては、侵攻直後に急上昇し、侵攻の長期化とともに再度増加しており、ウクライナのコミュニティにおける精神面の不調の増加が危惧される状況も示されました。今後、実際にうつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症が増加するかどうかを慎重に注視する必要があります。本研究の知見が、国際社会のウクライナ支援における重要なデータとなることが期待されます。
本研究の結果は、2022年12月22日午前0時(日本時間)、The Tohoku Journal of Experimental Medicine誌に掲載されました。

プレスリリース本文

書誌情報

タイトル:Real-Time Prediction of Medical Demand and Mental Health Status in Ukraine under Russian Invasion Using Tweet Analysis
著者:Susumu Fujii, Yasuto Kunii, Sayuri Nonaka, Yumiko Hamaie, Mizuki Hino, Shinichi Egawa, Shinichi Kuriyama, and Hiroaki Tomita
掲載誌:The Tohoku Journal of Experimental Medicine
掲載日:2022年12月22日
DOI:10.1620/tjem.2022.J111

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