この度、予防医学・疫学部門分子疫学分野の研究グループによる、三世代コホート調査をもとに妊娠高血圧腎症のリスク予測を検討した論文がHypertension Research in Pregnancy誌に掲載されました。
妊娠高血圧腎症は妊婦さんの約3%に発症し、生まれてくる赤ちゃんの低出生体重やお母さん自身の将来的な循環器疾患のリスクとなります。妊娠高血圧腎症の早期の発見により予防介入が可能となるため、リスクを予測するツールとなる統計モデルの開発が求められていました。従来のモデルは海外のデータを基にしており、日本の妊婦健診で得られる妊婦さんの背景情報や診療情報には適用できなかったため、臨床現場での活用が進んでいませんでした。
今回の研究では、まず妊婦健診の血圧値や過去の疾患などの情報を用いた妊娠高血圧腎症のリスク予測モデルを開発しました。その後、その予測モデルに妊婦健診のタンパク尿の情報を加えることで、妊娠高血圧腎症のリスクの予測精度が上がることを発見しました。
この予測モデルは普段の妊婦健診で得られる情報を利用できるため、臨床に応用しやすいという特徴があります。また妊婦さん一人一人が自分のリスクを把握できるように、さらに使いやすいモデルの開発やスマートフォンを用いたアプリケーションの実装を進めています。
書誌情報
タイトル:Preeclampsia prediction model using the dipstick test for proteinuria during early gestation.
著者名:Hisashi Ohseto, Mami Ishikuro, Taku Obara, Keiko Murakami, Tomomi Onuma, Aoi Noda, Fumihiko Ueno, Noriyuki Iwama, Masahiro Kikuya, Hirohito Metoki, Junichi Sugawara, Shinichi Kuriyama
掲載誌:Hypertension Research in Pregnancy
早期公開日:24 June 2022
DOI: 10.14390/jsshp.HRP2022-002
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