東北メディカル・メガバンク(TMM)計画における遺伝情報回付事業では、コホート調査に参加している方の一部を対象に、医薬品の効きやすさや副作用の起こりやすさに関わる遺伝情報を解析し、その結果を参加者に回付(返却)しました。この研究についての論文が、2022年3月11日、JMA Journal電子版に掲載されました。
医薬品の反応性に関わる遺伝情報は、医薬品を使用するときの副作用の予防や、より効果的・安全な治療を受けるうえで有用な情報となります。この研究には約160名が参加し、医薬品の効きやすさや副作用の出やすさに関連する3つの遺伝子(ミトコンドリアDNA1555、CYP2C19、NUDT15)について、個人ごとの特徴について調べました。参加者の方には、3つの遺伝子の特徴によって影響を受ける医薬品や関連する疾患について説明する講習会に参加していただきました。結果は、郵送(一部の方には電話)でお返しし、医療従事者向けの結果報告書を同封しました。アンケート調査では、ほとんどの参加者が、医薬品の反応性と遺伝子との関連について初めて知り、本研究に参加することによって、理解を深めることができたと回答しました。
ToMMoでは、コホート調査に参加している方の全ゲノム解析情報を活用して、遺伝子の特徴と医薬品の反応性についての研究を進めています(研究例)。こうした研究と併せて、医薬品の反応性に関わる遺伝情報を参加者の方にわかりやすく適切にお伝えする事業を進めることで、個別化医療の社会実装を目指しています。
書誌情報
タイトル:A Pilot Study for Return of Individual Pharmacogenomic Results to Population-Based Cohort Study Participants
著者名:Kinuko Ohneda, Masahiro Hiratsuka, Hiroshi Kawame, Fuji Nagami, Yoichi Suzuki, Kichiya Suzuki, Akira Uruno, Mika Sakurai-Yageta, Yohei Hamanaka, Makiko Taira, Soichi Ogishima, Shinichi Kuriyama, Atsushi Hozawa, Hiroaki Tomita, Naoko Minegishi, Junichi Sugawara, Inaho Danjoh, Tomohiro Nakamura, Tomoko Kobayashi, Yumi Yamaguchi-Kabata, Shu Tadaka, Taku Obara, Eiji Hishimuma, Nariyasu Mano, Masaki Matsuura, Yuji Sato, Masateru Nakasone, Yohei Honkura, Jun Suzuki, Yukio Katori, Yoichi Kakuta, Atsushi Masamune, Yoko Aoki, Masaharu Nakayama, Shigeo Kure, Kengo Kinoshita, Nobuo Fuse, and Masayuki Yamamoto
掲載誌:https://www.jmaj.jp/
Advance Publication: March 11, 2022
掲載予定:JMA Journal Vol. 5, No. 2, 2022 (2022年4月15日号)
DOI:10.31662/jmaj.2021-0156
The post 医薬品の反応性に関する遺伝情報回付事業に関する論文が掲載 first appeared on 東北メディカル・メガバンク機構.