INGEM & ToMMoセミナーシリーズ第14・15回を開催しました

　2021年9月28日（火）・30日（木）、INGEM & ToMMoセミナーシリーズ第14・15回を開催しました。

　今回は、ToMMoの事業の柱のひとつである長期健康調査において、三世代コホート調査を推進する小原 拓 准教授（ToMMo予防医学・疫学部門 分子疫学分野）、地域住民コホート調査を推進する中谷 直樹 教授（ToMMo予防医学・疫学部門 健康行動疫学分野）が『地域住民、三世代コホート調査のこれまでの成果と今後の展望』をテーマに講演しました。

　第14回では、小原 拓 准教授が『三世代コホート調査の進捗と私の妄想』と題し、講演しました。

　初めに、三世代コホート調査の概要について説明があり、調査の立ち上げ当初は家族のリクルートの進め方、参加者に対して遺伝要因についてどのように説明し、参画いただくかについて苦労したこと、家族のコホート調査で長年の実績があるオランダの研究機関からのアドバイスも得て方法論を構築してきたこと、多くの方々に参画いただき結果として世界でも類を見ない規模の家系情報付きコホートという取組みを成し遂げることができた、と話がありました。また、これまでの調査の成果の例として東日本大震災後の健康状態、妊婦への直接・間接的な影響などについて説明がありました。

　最後に、小原先生の考える今後の展望について、全ての国民がライフステージに応じ健やかに生活できる社会の実現を目指したい、そして将来的には三世代コホート調査、地域住民コホート調査や他コホートと連携しマルチジェネレーション化を進め、日本各地で家系情報やゲノム情報を活用できる体制が可能になる、と想いを巡らせています、と話があり、取り組んでいる研究を次世代医療の開発につなげていきたいと締めくくりました。

登壇する小原准教授

　第15回では、中谷 直樹 教授が『地域住民コホート調査：被災による健康影響、夫婦の生活習慣コンコーダンス、そして疾患リスク研究へ』と題し、講演しました。

　これまでにも様々なコホート・疫学調査に関わってきた中谷教授は、2021年4月にToMMo予防医学・疫学部門に健康行動疫学分野という新しい研究室を立ち上げ、「健康増進のための行動」「不健康な行動」「健康向上の促進」「生活環境の改善」に関する要因を明らかにし、行動変容（健康行動をより良い方向へ変化させること）を達成するための方策、その結果を社会に還元する研究に取り組んでいます。

　講演の冒頭では地域住民コホート調査の歩み、そして地域住民コホート調査や東北大学をはじめとした各研究機関の調査結果から東日本大震災で宮城県・岩手県の参加者にどのような健康影響があったかお話しがありました。また、中谷教授が長年着目し取り組まれている配偶者疫学研究について、オランダとの国際共同研究の成果から、一方のパートナーが健康的な生活習慣に行動を変容した時、他方のパートナーも健康的な行動に変容する可能性があり、行動変容の介入にパートナーを巻き込むことは結果的に改善に役立つ可能性がある、とお話がありました。

　そして最後に調査に関わる教員が力を合わせ、地域住民コホート調査から得られた結果を参加者の皆さまに早くお返し、役立ててもらえるよう教員一同力を合わせ取り組んで行きたい、と締めくくりました。

登壇する中谷教授

　ハイブリッド形式で開催したセミナーには、ToMMo、INGEMの研究者や医学系研究科の学生を中心に各回60名を超える参加があり、質疑応答では活発な意見が交わされました。

　なお、ToMMoが2013年から実施している長期健康調査（地域住民コホート調査、三世代コホート調査）については、2021年7月15日より詳細三次調査がスタートしています。また、各講演でもありましたがToMMoでは長期健康調査のスマートフォンアプリを開発、運用を開始しました。マイナンバーカードを利用した『マイToMMo』、歩数・体重・血圧・体脂肪率等の記録アプリ『ToMMoバイタルアプリ』、そしてドライアイを5分でチェックできる研究アプリ『ドライアイリズム』の3種類があり、三世代コホート調査または地域住民コホート調査に参加いただいている方が活用できるアプリです。このように、社会実装にも取り組み新たな手法を取り入れながら個別化ヘルスケアを実現してまいります。

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