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ベニバナの赤色色素の謎解明に大きな進展 –カルタミンの生合成酵素を同定 -【プレスリリース】

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発表のポイント

・ 謎に包まれていたベニバナのフラボノイド色素カルタミンの生合成の最終段階を司るカルタミン合成酵素の遺伝子を初めて同定し、植物に広く存在するペルオキシダーゼの仲間であることを明らかにしました。
・ カルタミン合成酵素反応では、他のペルオキシダーゼ反応とは異なり、電子受容体として過酸化水素ではなく酸素分子が利用されることがわかりました。
・ ベニバナの花弁の赤色化や伝統的な紅(べに)の製造のプロセスが、カルタミンやカルタミン合成酵素の特性に基づいて合理的に説明できます。

概要

ベニバナ色素カルタミンは、天然赤色色素として古代エジプトの時代から人類に利用されてきた歴史がありますが、その生合成機構は不明のままで、その解明が色素化学研究者の悲願でした。
東北大学大学院工学研究科バイオ工学専攻の和氣 駿之 助教らの研究グループは、東洋インキSCホールディングス(株)、トーヨーケム(株)、東北大学東北メディカル・メガバンク機構の青木 裕一 助教との共同研究により、ベニバナ(図1)の赤色色素カルタミン(図2)の生合成の最終段階を司る酵素(カルタミン合成酵素)の遺伝子を同定しました。
世界的に高い関心を集めてきたカルタミン研究の歴史のなかでも、この成果は大きなインパクトをもつものと考えられます。
この研究成果は植物科学の国際誌Plant & Cell Physiologyに速報として出版され、また9月11日にオンラインで開催される日本植物バイオテクノロジー学会においても口頭で講演がなされます。

プレスリリース本文

図1:ベニバナ

図2:赤色色素カルタミンの化学構造

書誌情報

タイトル:Identification of the Genes Coding for Carthamin Synthase, Peroxidase Homologs that Catalyze the Final Enzymatic Step of Red Pigmentation in Safflower (Carthamus tinctorius L.)
著者名:Toshiyuki Waki, Miho Terashita, Naoki Fujita, Keishi Fukuda, Mikiya Kato, Takashi Negishi, Hiromi Uchida, Yuichi Aoki, Seiji Takahashi, Toru Nakayama
掲載誌:Plant and Cell Physiology
掲載日:03 August 2021
DOI:10.1093/pcp/pcab122

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