研究成果のポイント
• メンデルのランダム化解析という、ゲノム情報を用いる研究手法により、肥満度の指標であるBMIと大腸がんリスクとの関連を調べました。
• 日本ゲノム疫学研究コンソーシアム(J-CGE)の日本人一般集団約36,000人のBMIとゲノム情報、および、本コンソーシアムの中で利用可能なデータと国内の公開データを合わせた大腸がん約7,500症例と対照37,000例のゲノム情報を分析しました。
• その結果、遺伝的に予測されるBMIが増加するにつれて、大腸がんリスクが増加するという関連を、アジア人で初めて明らかにしました。
概要
国立がん研究センター、横浜市立大学、岩手医科大学、東北大学、名古屋大学、名古屋市立大学、愛知県がんセンター、筑波大学などの研究者で構成される研究グループは、日本ゲノム疫学研究コンソーシアム(J-CGE:Japanese Consortium of Genetic Epidemiology studies)を構築し、ゲノム情報を用いたメンデルのランダム化解析により、肥満度を表す指標であるBMI(body mass index:体格指数)と大腸がんリスクとの関連をアジア人で分析しました。
その結果、遺伝的に予測されるBMIが1単位増加すると、大腸がんのリスクが7%増加することが示唆されました。本研究成果は、アジア人におけるBMIと大腸がんリスクとの関連を、メンデルのランダム化解析により検討した初めての報告であり、がん専門誌「Cancer Science」4月号に掲載されました。
発表論文
雑誌名: Cancer Science
タイトル: Body mass index and colorectal cancer risk: A Mendelian randomization study
著者: 鈴木詩織、後藤温、中杤昌弘、成田暁、山地太樹、澤田典絵、片桐諒子、岩上将夫、羽入田明子、八谷剛史、須藤洋一、尾瀬功、小栁友理子、春日井由美子、谷山祐香里、伊藤秀美、池崎裕昭、西田裕一郎、田村高志、三上春夫、嶽崎俊郎、鈴木貞夫、尾崎悦子、栗木清典、高嶋直敬、有澤孝吉、竹内研時、丹野高三、清水厚志、田宮元、寶澤篤、木下賢吾、若井建志、佐々木真理、山本雅之、松尾恵太郎、津金昌一郎、岩崎基
DOI: 10.1111/cas.14824