東北メディカル・メガバンク計画は、コホート調査、バイオバンク、ゲノム・オミックス解析など非常に多様な要素を持った計画ですが、その全体像を記した論文が、日本医師会が発行する英文誌JMA Journal誌の9月号に掲載が決まり、ウェブ版に先行公開されました。
本論文の概要
東北メディカル・メガバンク計画は、東日本大震災からの医療の創造的復興を目的として開始された、健常者を対象とするゲノムコホート及び複合バイオバンクを構築するプロジェクトである。第一段階では、地域住民コホート約8万人と三世代コホート約7万人の参加者を募り、計15万人の生体試料(血液、尿、DNA等)と健康情報を複合バイオバンクとして格納している。最新の解析基盤を駆使することにより、これらの試料・情報にゲノム、オミックス等の解析情報等を付帯して分譲する体制を構築した。
次世代医療、個別化医療を目指したゲノム解析戦略は、高精度のゲノム参照パネルの構築とそれに基づく日本人向けにカスタマイズしたDNAアレイ(ジャポニカアレイ)を作成し、まず15万人の遺伝子をタイピングすることである。これらに基づき、倫理的、社会的、法的問題を考慮しながら、第二段階では、家族性高コレステロール血症をターゲットとして遺伝情報回付を行った。我が国のゲノム研究、個別化医療の基板形成に向けて計画を進めている。
書誌情報
タイトル:Establishment of Integrated Biobank for Precision Medicine and Personalized Healthcare: The Tohoku Medical Megabank Project
著者名:Nobuo Fuse, Mika Sakurai-Yageta, Fumiki Katsuoka, Inaho Danjoh, Ritsuko Shimizu, Gen Tamiya, Fuji Nagami, Hiroshi Kawame, Shinichi Higuchi, Kengo Kinoshita, Shigeo Kure, Masayuki Yamamoto
掲載誌:JMA Journal
Advance Publication: August 6, 2019
DOI: 10.31662/jmaj.2019-0014