ゲノム解析部門の長﨑正朗教授、安田純客員教授らの論文が、国際科学誌Journal of Crohn’s and Colitisに掲載されました。
クローン病は主に若年者にみられる炎症性腸疾患の一つであり、主に小腸と大腸に発症します。発症には遺伝的な素因が背景としてありますが、関連する遺伝子が集団ごとに異なるため、日本人についての責任遺伝子の探索が求められていました。今回の解析では既知のクローン病関連遺伝子に加え、RAP1A遺伝子の多型がクローン病発症と相関すること、また、同多型を持つクローン病患者の腸管粘膜のリンパ球において、同遺伝子の発現量が低下していることを明らかにしました。
当機構からは、東北地区由来の正常対照として東北メディカル・メガバンク計画の参加者1,720人分のジャポニカアレイの情報提供、1,070人の全ゲノムリファレンスパネル(1KJPN)を用いたインピュテーションの適用、ゲノムワイド関連解析などで貢献を行いました。
【掲載論文】
タイトル:A Genome-wide Association Study Identifying RAP1A as a Novel Susceptibility Gene for Crohn’s Disease in Japanese Individuals
著者名:Yoichi Kakuta, Yosuke Kawai, Takeo Naito, Atsushi Hirano, Junji Umeno, Yuta Fuyuno, Zhenqiu Liu, Dalin Li, Takeru Nakano, Yasuhiro Izumiyama, Ryo Ichikawa, Daisuke Okamoto, Hiroshi Nagai, Shin Matsumoto, Katsutoshi Yamamoto, Naonobu Yokoyama, Hirofumi Chiba, Yusuke Shimoyama, Motoyuki Onodera, Rintaro Moroi, Masatake Kuroha, Yoshitake Kanazawa, Tomoya Kimura, Hisashi Shiga, Katsuya Endo, Kenichi Negoro, Jun Yasuda, Motohiro Esaki, Katsushi Tokunaga, Minoru Nakamura, Takayuki Matsumoto, Dermot P B McGovern, Masao Nagasaki, Yoshitaka Kinouchi, Tooru Shimosegawa, Atsushi Masamune
掲載誌:Journal of Crohn’s and Colitis
掲載日:29 November 2018
doi:10.1093/ecco-jcc/jjy197