平成28年6月1日付で、地域医療支援部門災害感染症学分野の教授に就任された 児玉栄一先生 にお話をお聞きしました。
- ToMMoに参加されたきっかけは?
- 東日本大震災直後の石巻急性期医療支援や涌谷町町立町民医療福祉センターでの夜間救急業務などの地域医療支援に携わってきました。一方で、開発研究に関わった抗HIV薬が販売承認されるなど、常々、地域医療支援と研究を両立させたいと思っていました。そんな折、有難いことに4か月間の地域医療と8カ月間の研究期間が確保される ToMMoクリニカル・フェロー(TCF)への参加を山本雅之機構長からお声掛けいただいたことがきっかけです。
- TCFとして活動していかがでしたか?
- 呼吸器悪性腫瘍・感染症の専門性を考慮いただき、宮城県立循環器呼吸器病センターの呼吸器科に配属されました。同センターのスタッフの方々も非常に協力的でいい経験になりました。週1回の研究日のおかげで4か月間の支援中も大学での研究を継続でき、複数の文部科学省やAMEDの研究費獲得につながりました。また、病原体実験施設(P2/3)などの研究サポートも充実しており、おかげ様で抗ウイルス剤の開発研究が滞ることなく進行中です。
- 現在研究されている分野は?
- 医学生のときに興味を持った生化学を武器に抗ウイルス剤の研究を始めました。HIVを中心に治療薬開発を行い、これまで2剤の臨床薬開発に携わり、3剤目が臨床試験第II相に進んでいます。現在はこれらの知見を他のウイルス、例えばEBウイルスで引き起こされる白血病の治療薬のアカデミア創薬に応用しています。東北大学の伝統である「実学尊重」の精神にのっとり、1剤でも多くの新薬を届けたいと思い日々研究に励んでおります。
- TCFから初の教授就任です。これまでのご専門を活かしてToMMoと共に活躍されるにあたっての抱負をお聞かせください。
- バイオバンクも試料の収集から解析に徐々にその主軸を移しつつあります。我々の研究室では感染しやすさや感染関連腫瘍に関わる体質の解明に加え、より副作用の少ない治療薬の開発から、快く本事業に協力していただいた住民の方々の「安心」につながる成果を出していきたいと思います。もちろん、TCFを含めた研究者にも「安心」して研究できる環境を整え、これからも本機構から世界レベルの研究者や教育者を多数輩出できるよう尽力していきたいと思います。