ゲノムプラットフォーム連携センターの主催による第13回 ゲノム・オミックス連携推進セミナーを、下記の通り開催致します。オープンなセミナーですので、学外、学生の方々を含め、ご興味のある方はどなたでもご参加頂けます。
詳細
【日時】5月25日(金)16:00~17:30
【場所】医学部6号館1階 講堂
【講師】蓑島 伸生 教授
浜松医科大学 光尖端医学教育研究センター
フォトニクス医学研究部 光ゲノム医学研究室
【演題】新しい視点からの新規加齢黄斑変性責任遺伝子の同定
セミナー要旨
AMD (加齢黄斑変性) は、加齢に伴い、黄斑の視細胞と色素上皮細胞が変性して視機能が障害され、最終的に失明に至る疾患で、欧米では中途失明の原因第1位を占める。本邦でも、近年急激に増加しており、現在第4位である。AMDの治療法を確立することは、社会的に喫緊の課題である。AMDは多因子疾患であるが、遺伝的要因もかなり大きく、これまでに責任遺伝子が多数報告されている。それらは、補体(CFH)、炎症 (TNFRSF10A)、血管新生 (VEGF)、脂質代謝 (CETP) など、様々なカテゴリーにわたっているが、それらの遺伝子の機能をつなぎ合わせてAMDの発症・進展メカニズムを説明する根幹ストーリーを描くことは、未だ可能ではない。
AMDの厳密な意味での動物モデルは報告されていない。しかし、ラット等に強い光を照射して起こる網膜変性が形態学的、生化学的にAMDの病態に類似するため、この「網膜光障害モデル」がAMDの動物実験モデルとして使われてきた。
我々は、ラットの網膜光障害モデルでの網膜変性の起き易さ (感受性) がラットの系統によって異なることに着目して、系統差の原因遺伝子を同定すれば、それをAMDの研究に活用できると考え、同遺伝子の単離を目指して研究を行ってきた。すなわち、感受性の異なる2系統のラットを交配して、戻し交配を繰り返し、最終的に次世代シークエンサーも活用して12年の歳月をかけて感受性の違いを支配する遺伝子Gene_Rを単離した。Gene_Rのヒト相同遺伝子GENE_Rの多型を同定してAMD発症との関連解析を行ったところ、特定の多型の組み合わせが日本人の滲出型AMDの一部の病型と、かなり強い関連を示すことが判明した。GENE_Rは、既知のAMD易罹患性感受性遺伝子とは異なる、新たなカテゴリーに属すため、GENE_Rを中心として、AMDの発症メカニズム研究の新たな領域が展開できると考えている。
問い合わせ先
東北メディカル・メガバンク機構
ゲノムプラットフォーム連携センター
副センター長 田邉
連絡先: contact*gpc.megabank.tohoku.ac.jp(芳賀)
(*を@に変えて下さい)
関連リンク
第12回ゲノム・オミックス連携推進セミナー開催のお知らせ(3月29日)
第11回ゲノム・オミックス連携推進セミナー開催のお知らせ(3月2日)
第10回ゲノム・オミックス連携推進セミナー開催のお知らせ(2月21日)