2017年7月19日、第142回東北大学サイエンスカフェに荻島創一准教授(バイオクリニカル情報学分野)が出演しました。
「あなたのデータで医療を変える」と題された今回のサイエンスカフェは、仙台市のせんだいメディアテークで開催され、会場は平日の夕方にも関わらず多くの参加者で溢れました。
サイエンスカフェは荻島准教授の講演で幕を開けました。
世界的に市民の医療研究参加が進んでいること、特に希少疾患において遺伝子解析を駆使し研究医療が進んでいることを具体的な例を交えながらお話しされました。
そして、こうした研究医療を進歩させ個別化医療・個別化予防の実現ためにデータの蓄積、遺伝子要因および環境要因からのデータ解析の必要性を伝えました。
その後、参加者はテーブル毎のグループに分かれ、「一日の平均睡眠時間」や「どれくらいの頻度で楽しいことがあったか」といったアンケートの実施・集計をファシリテーター中心に行いました。
集計したデータはすぐにグラフ化され、ToMMoが行うコホート調査から得たデータをもとに構築されている統合データベースdbTMMカタログを使用し、今回の参加者と宮城県のコホート参加者とでは相違があるか、どういったことがこのデータから読み取れるのか比較を行いました。
ビックデータがあることで様々なことが解析できると分ったとき、1つの疑問が生まれます。例えば、日頃使っているICカード、クレジットカードの使用履歴、インターネットショッピングでの購入履歴など、現在では日常の至る所からデータを集めることが可能です。こうした個人情報をどこまで提供できると感じるか、テーブルごとにディスカッションを行いました。
参加者からは、「医療のためなど目的がはっきりしたものであればデータを提供してもいい」、「悪用されるかもしれないのになんでもかんでも教えたくない」、「個人情報を抜き取られないような対策をしっかり取ってほしい」、「もし自分の感情をデータとして取られてしまうのは怖いと感じる」など多くの意見が上がりました。
今回を通じて、医療研究において一人ひとりの持つデータがいかに重要で、研究を進めるために非常に有効なものであると知った上で、参加者にデータの提供について考えてみてほしいとの荻島准教授の言葉で、サイエンスカフェは幕を閉じました。
荻島准教授、ファシリテーターと務めたToMMoメンバーらと東北大学学生ボランティアS-Café Sugarsの皆さん