ToMMoゲノムプラットフォーム連携センターの主催による、第4回ゲノム・オミックス連携推進セミナーを、下記の通り開催致します。
オープンなセミナーですので、学外、学生の方々を含め、ご興味のある方はどなたでもご参加頂けます。
詳細
日時: 6月19日(月)17時~18時
場所: 東北メディカル・メガバンク棟 3階 大会議室
講師: 神田 輝 教授 (東北医科薬科大学・医学部・微生物学教室)
演題: ゲノム編集技術を応用した個人由来EBウイルス株の単離と解析
セミナー要旨
Epstein-Barr virus(EBウイルス)は、世界中に広く蔓延している普遍的なウイルスである。大多数の人々では無症候性感染に終始するが、時に伝染性単核球症や様々な腫瘍性疾患(Bリンパ腫、NK/Tリンパ腫、上咽頭がん、胃がんなど)の発症に関与する。近年、次世代シークエンサーの導入により、世界の様々な地域由来のEBウイルス株について、ウイルスゲノム(大きさ約175キロベース)の塩基配列解読が進み、系統の異なるEBウイルス株が地域ごとに分布している様子が明らかになりつつある。
EBウイルス陽性NK/Tリンパ腫は、日本を含む東アジアに多い疾患であり、その病態解明に向けて日本人由来EBウイルス株の解析は欠かせない。しかしながら日本人由来EBウイルス株で全塩基配列が解読されたのは、バーキットリンパ腫細胞由来のわずかに一検体のみである。無症候感染するウイルス株と疾患由来ウイルス株との間に、ウイルスゲノム配列の違いに基づく機能差があるかどうかについては明らかにされていない。
私たちは最近の研究において、ゲノム編集技術(CRISPR/Cas9法)を応用することで、EBウイルス感染細胞から全長EBウイルスゲノムDNAを迅速にクローン化する方法を開発した。得られたDNAを用いてPacBioシークエンスによる全ウイルスゲノム塩基配列決定、および感染性ウイルス再構成が可能となった。
そこで自然樹立EBウイルス感染Bリンパ芽球様細胞株、あるいはEBウイルス関連疾患由来細胞株から日本人由来EBウイルス株のクローン化を進めることを計画している。本講演では、こうした研究の意義、およびこれを行うための技術基盤の現状についてお話しする。
連絡先:芳賀 contact*gpc.megabank.tohoku.ac.jp(*を@に変えて下さい)