ゲノム解析部門の 長﨑正朗 教授は、東北大学大学院医学系研究科 消化器病態学分野 正宗淳 准教授らと 1KJPN を利用した共同研究を行い、その結果を論文として発表しました。
この成果は Pancreatology 誌に2016年7月2日付でオンライン出版されました。
■研究内容
慢性膵炎に関係することが知られている UBR1 遺伝子の患者についてターゲットシークエンスを行うことで同定された非同義置換の数十の変異について、疾患群での頻度と、1,070 人の一般住民のゲノム情報(東北大学東北メディカル・メガバンク機構のコホート調査により得られたデータ)をもとに構築を行った全ゲノムリファレンスパネルでの頻度情報の比較を行いました。
疾患群で見付かったいくつかの変異については、インシリコ解析により重篤な症状をもたらすものであることが予測されました。これらの変異はレアバリアントで、疾患群と健常群での頻度差について検討を実施しましたが明らかに有意な差があることまでは確認できませんでした。
今後、全ゲノムリファレンスパネルと UBR1 遺伝子の患者、双方の人数規模を増やすことで各レアバリアントの影響などを検討することにより、有意な結果が得られることが期待されます。
【書誌情報】
論文題名:Variants in the UBR1 gene are not associated with chronic pancreatitis in Japan
掲載誌:Pancreatology
著者:Atsushi Masamune, Eriko Nakano, Tetsuya Niihori, Shin Hamada, Masao Nagasaki, Yoko Aoki, Tooru Shimosegawa
Accepted 29 June 2016, Available online 2 July 2016
10.1016/j.pan.2016.06.662