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母親の産後ボンディング障害と児の行動特性に関する論文がJournal of Affective Disorders誌に掲載

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予防医学・疫学部門の村上 慶子講師らが執筆した母親の産後ボンディング障害と児の行動特性に関する論文がJournal of Affective Disorders誌に掲載されました。
母親のわが子に対する情緒的絆(ボンディング)の形成力の低下や欠如がみられる状態は、ボンディング障害と言われています。ボンディング障害は、母児関係や児の健康に影響する可能性が指摘されているものの、長期的に児の健康状態との関連を検討した研究は限られています。そこで、三世代コホート調査の自記式調査票データを用いて、母親の産後ボンディング障害と未就学児の行動特性の関連を検討しました。

赤ちゃんへの気持ち質問票(MIBS-J)を産後1か月時に母親に回答してもらい、総得点30点中5点以上をボンディング障害ありとしました。子どもの行動チェックリスト(Child Behavior Checklist 1½–5)※※を用いて児が4歳時の行動を評価してもらい、全問題尺度と上位尺度(内向尺度、外向尺度)のT得点64点以上を臨床域としました。その結果、産後1か月時点でボンディング障害を有する母親の割合は、14.8%でした。産後ボンディング障害を有した母親の児はそうでない児と比較して、全問題尺度で測定した行動特性が臨床域である割合が2.1倍高かったです。内向尺度、外向尺度でも同様の関連がみられ、各々1.7倍、1.9倍高かったです。

産後1か月時は医療関係者が母親と接する機会が多いため、その時期にボンディング障害をスクリーニングし介入につなげることが、児の行動特性に有益である可能性が本研究から示唆されました。

※赤ちゃんへの気持ち質問票(MIBS-J):子どもへ抱く気持ちについて調査する質問票であり、得点が高いほど子どもへの否定的な感情が強い。

※※子どもの行動チェックリスト(Child Behavior Checklist 1½–5):1歳半から5歳の子どもの情緒と行動を保護者が包括的に評価する質問票である。症状群尺度のうち、情緒反応、不安/抑うつ、身体愁訴、引きこもりを内向尺度、注意の問題、攻撃的行動を外向尺度とする。

書誌情報

タイトル:Maternal postnatal bonding disorder and emotional/behavioral problems in preschool children: The Tohoku Medical Megabank Project Birth and Three-Generation Cohort Study
著者名:Keiko Murakami, Mami Ishikuro, Taku Obara, Fumihiko Ueno, Aoi Noda, Tomomi Onuma, Fumiko Matsuzaki, Ippei Takahashi, Saya Kikuchi, Natsuko Kobayashi, Hirotaka Hamada, Noriyuki Iwama, Hirohito Metoki, Masahiro Kikuya, Masatoshi Saito, Junichi Sugawara, Hiroaki Tomita, Nobuo Yaegashi, Shinichi Kuriyama
掲載誌:Journal of Affective Disorders
早期公開日:2023年1月13日
DOI: 10.1016/j.jad.2023.01.044

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