国立国際医療研究センター研究所・溝上雅史先生を講師としてお迎えし、B型肝炎ウイルス感染症における宿主要因の検討について講演していただきます。
※本講演は第78回インシリコ・メガバンク研究会を兼ねています。
・日時:平成28年11月16日(水) 18:30 ‐ 19:30
・場所:東北メディカル・メガバンク棟3階 大会議室
・演題:B型肝炎ウイルス感染症における宿主要因の検討
・講師:溝上雅史(国立国際医療研究センター研究所)
・概要:本邦における肝がんは、その70%がB型、C型肝炎ウイルス(HBV, HCV)によるが、部位別がん死亡数の4位に、WHOによると世界的には第7位に位置し公衆衛生上大きな問題となっている。
HCVについては近年の治療法の進歩によりHCVによる肝がんは現在確実に減少しつつあり2030年には希少疾患になると予想される。しかし、HBVに対する治療法はHBVの増殖を抑えるだけで、根本治療であるHBVの排除は目処がたっていないのが現状である。
一般的に感染症の病態は原因病原体と感染個体の相互反応により決定されるが、HBVについては、その感染者の約90%は一生無症状で経過すのに対し約10%が肝がんに進展すると明らかにされているにも関わらず、両者の要因は技術的問題もありHBVのウイルス要因だけしか検討されてこなかったが、無症状経過例と肝がん進展例の違いを見出すことは出来ていない。
そこで我々は過去10年間でIRBなどの各種手続きを済ませた全国の各種肝臓専門病院から臨床情報を付加された約3,500検体のゲノムや血清を収集した。そして、現在ウイルス側要因として、HBVDNAの配列決定と宿主因子としてGWASを行っているところである。今回AMEDより研究費を頂いたので、さらに詳細な宿主要因についてToMMoとの共同研究で明らかにしたいと思っている。
そこで、本講演ではHBV研究の現状と問題点、さらにToMMoとの共同研究の可能性についてdiscussionできればと思っている。
・世話人:長﨑正朗