Quantcast
Channel: 東北メディカル・メガバンク機構
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2261

日本人集団の慢性腎臓病および腎機能関連形質に関するゲノム関連解析の論文が公開されました

$
0
0

慢性腎臓病(CKD)は、様々な原因で腎機能が低下する疾患であり、進行すると腎不全を引き起こし、人工透析や腎移植が必要となるほか、心血管疾患やがんの重要なリスク因子ともされています。
日本腎臓学会は、CKD症例のバイオバンクであるJKB(J-Kidney-Biobank)を構築し、川崎医科大学、東京大学などの研究機関で、症例の生体試料、および臨床情報の収集を進めています。今回、ToMMoとの共同研究として、JKBの症例データ475人分と、東北メディカル・メガバンク計画 地域住民コホート調査(宮城)の参加者約13,000人分のデータを統合し、CKDと、腎機能の指標であるeGFR(推算糸球体ろ過量)、およびUACR(尿中アルブミン/クレアチニン比)に関するGWAS(ゲノムワイド関連解析)を実施しました。

その結果、12番染色体のBRAP(BRCA1-associated protein)など、ヨーロッパ系集団を主体とする先行研究でも報告されていた遺伝子のほか、これまで報告されていない遺伝子が関連遺伝子として新たに検出され、日本人集団特有の遺伝因子が腎機能に関係している可能性が示唆されました。
また、eGFR低下とUACR上昇で関連する遺伝子が異なり、これら二つの病態には異なる遺伝的機序が関係している可能性も示唆されました。

本研究の成果を踏まえ、今後、CKDのリスク予測や原因遺伝子の解明に向けた研究がさらに加速することが期待されます。

この研究成果は、Journal of Human Geneticsの電子版に、11月21日付で公開されています。

なお、本研究は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)によるゲノム医療実現推進プラットフォーム事業 先端ゲノム研究開発(GRIFIN)の課題「精緻な疾患レジストリーと遺伝・環境要因の包括的解析による糖尿病性腎臓病、慢性腎臓病の予後層別化と最適化医療の確立」(代表者: 川崎医科大学 腎臓・高血圧内科学 柏原直樹教授)の一環として実施されました。

書誌情報

タイトル:Genome-wide association study of the risk of chronic kidney disease and kidney-related traits in the Japanese population: J-Kidney-Biobank
著者:Yuka Sugawara, Yosuke Hirakawa, Hajime Nagasu, Akira Narita, Akihiro Katayama, Jun Wada, Miho Shimizu, Takashi Wada, Hiromasa Kitamura, Toshiaki Nakano, Hideki Yokoi, Motoko Yanagita, Shin Goto, Ichiei Narita, Seizo Koshiba, Gen Tamiya, Masaomi Nangaku, Masayuki Yamamoto, Naoki Kashihara
雑誌名:Journal of Human Genetics
公開日:2022年11月21日
DOI:10.1038/s10038-022-01094-1

The post 日本人集団の慢性腎臓病および腎機能関連形質に関するゲノム関連解析の論文が公開されました first appeared on 東北メディカル・メガバンク機構.

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2261

Trending Articles