妊娠高血圧症候群(Hypertensive disorders of pregnancy: HDP)は、産後の心血管疾患の増加、児の出生体重の減少や発達遅延など、母子の予後に影響を及ぼすことが示されてきました。朝食を抜くことは、概日時計の乱れにより血圧上昇を引き起こす可能性が示唆されていますが、HDP発症との関連は検討されてきませんでした。そこで、三世代コホート調査をもとに、日本人妊婦の朝食欠食とHDPおよびHDPの病型分類(妊娠高血圧、妊娠高血圧腎症、加重型妊娠高血圧腎症、高血圧合併妊娠)の発症との関連を検討しました。
妊娠前から妊娠初期に朝食を毎日摂取する妊婦の割合は74.2%、週5~6回は10.0%、週3~4回は6.8%、週0~2回は8.9%でした。HDPの発症割合は11.1%でした。朝食を毎日摂取する妊婦と比べて、週に0~2回摂取する妊婦は、HDPを発症する割合が1.35倍高かったです。病型分類別にみると、朝食を毎日摂取する妊婦と比べて週に0~2回摂取する妊婦は高血圧合併妊娠と妊娠高血圧腎症を発症する割合が高かった一方で、朝食摂取頻度と妊娠高血圧および加重型妊娠高血圧腎症との関連はみられませんでした。
本研究から、妊娠前から妊娠初期に朝食を毎日摂取することはHDP発症の予防につながる可能性が示唆されました。
書誌情報
タイトル:Skipping breakfast during pregnancy and hypertensive disorders of pregnancy in Japanese women: the Tohoku medical megabank project birth and three-generation cohort study
著者名:Misato Aizawa, Keiko Murakami, Ippei Takahashi, Tomomi Onuma, Aoi Noda, Fumihiko Ueno, Fumiko Matsuzaki, Mami Ishikuro, Taku Obara, Hirotaka Hamada, Noriyuki Iwama, Masatoshi Saito, Junichi Sugawara, Nobuo Yaegashi, Shinichi Kuriyama
掲載誌:Nutrition Journal
公開日:17 November 2022
DOI:10.1186/s12937-022-00822-9