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妊娠中の多価不飽和脂肪酸の摂取と心理的ストレスに関する論文が掲載

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東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査をもとにした多価不飽和脂肪酸の摂取量の組み合わせと妊娠中の心理的ストレス反応との関連を検討した論文が2022年1月21日にProstaglandins, Leukotrienes and Essential Fatty Acids誌電子版に掲載されました。

ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などを含むn-3系脂肪酸は、うつ症状や心理的ストレス反応の予防や改善と関連している事が報告されています。しかしながら、妊娠中のうつ症状や心理的ストレス反応とn-3系脂肪酸摂取量との関連を検討した先行研究では、関連が確認された研究、確認されなかった研究、U字型の関連(摂取量が多いもしくは少ない場合のみ関連)が確認された研究などがあり結果は一貫していませんでした。

先行研究の結果が一貫していない原因の一つとして、代謝される際にn-3系脂肪酸と競合するn-6系脂肪酸との摂取量のバランスが十分に検討されていないことが挙げられます。
よって本研究では三世代コホート調査に参加している妊婦さんを対象として、妊娠前から妊娠初期のn-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸摂取量の五分位(個人を摂取量の小さい順に並べて、均等に5つの群に分けたもの)の組み合わせと妊娠中の心理的ストレス反応との関連を検討しました。

結果として、n-3系脂肪酸摂取量とn-6系脂肪酸摂取量が共に第3五分位の群と比較して、摂取量が偏っている群、両方の摂取量が少ない群、両方の摂取量が多い群において心理的ストレス反応を有する妊婦さんの割合が高い事が明らかになりました。また、補足の解析としてn-6系脂肪酸摂取量とn-3系脂肪酸摂取量の比と妊娠中の心理的ストレス反応との関連を検討したところ、n-6系脂肪酸摂取量とn-3系脂肪酸摂取量の比が高くなるほど心理的ストレス反応のリスクが高くなる直線的な関連が確認されました。

本研究では、偏ったn-3系脂肪酸摂取量とn-6系脂肪酸摂取量の組み合わせと心理的ストレス反応のリスクとの関連が明らかになりました。また、摂取量の比をとる場合と摂取量を組合わせて検討する場合では関連性が異なりました。これは摂取量の比をとると摂取量そのものの情報量を減らしてしまう事が原因と考えられます。これまで、n-3系脂肪酸摂取量とn-6系脂肪酸摂取量のバランスが検討されてきましたが、本研究では、摂取量の情報量を落とさず摂取量を組合わせて検討することの重要性が示されました。

書誌情報

タイトル:Relationship between the combination of polyunsaturated fatty acids intake and psychological distress during pregnancy: The Tohoku Medical Megabank Project Birth and Three-Generation Cohort Study
著者:Ippei Takahashi, Taku Obara, Misato Aizawa, Yudai Yonezawa, Fumihiko Ueno, Aoi Noda, Tomomi Onuma, Fumiko Matsuzaki, Keiko Murakami Mami Ishikuro, Shinichi Kuriyama
掲載誌:Prostaglandins, Leukotrienes and Essential Fatty Acids
掲載日:2022年1月21日
DOI:10.1016/j.plefa.2022.102400

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