発表のポイント
・ 東北メディカル・メガバンク計画のコホート調査参加者3,000人に対して、モバイルヘルスアプリによる調査を開始します。ゲノム情報を伴う大規模な研究でモバイルヘルスアプリを用いた眼科疾患を対象としたものは世界初とみられます。
・ モバイルヘルスアプリでは、ドライアイに関する自覚症状だけでなく、気温・湿度・花粉等の環境要因、モニター使用時間・コンタクトレンズ装用等の生活習慣要因等、包括的な情報を収集します。東北メディカル・メガバンク計画によるゲノム解析情報を組み合わせて、ドライアイの新しい病型分類の確立とその発症または重症化に関わる疾患遺伝子多型の特定を目指します。
・ 多くの方々のQOLを下げる要因であるドライアイに対する予防・個別化・予測・参加型からなるP4 Medicineという新たな価値の提供の基盤となることが期待されます。
概要
ドライアイに悩む方は世界中で10億人といわれ、デジタル社会の拡大に伴い、患者数はさらに増加する傾向にあります。よくみられる疾患である一方、ドライアイは症状の個人差が大きく、複数の要因が複合的に絡み合って発症すると考えられており、その原因や機序は未だ解明されていないところが多くあります。さらに治療は点眼による対症療法が中心であり、根治的な治療方法は確立されていません。
東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)と順天堂大学は、コホート調査にモバイルヘルスアプリを組み込んで、眼に関連する様々な情報を収集し、ドライアイが環境要因、生活習慣、遺伝要因とどのように関連するのか明らかにする研究を開始します。この研究をもとに、ドライアイ診療におけるSociety 5.0を実現し、多くの方がドライアイ症状から解放され、より快適な生活を送るようになると期待されます。この共同研究は2021年8月12日より開始されます。