2019年2月に公開された日本人基準ゲノム配列の初版JG1の構築についての論文がNature Communications誌に掲載されました。本研究はToMMo(東北大学医学系研究科、未来型医療創成センター ゲノム情報科学グループ兼務)の高山順准教授・田宮元教授らを中心として、医学系研究科、情報科学研究科、理化学研究所AIPセンター、および宮城県立がんセンターから多数の研究者が参画しています。
ヒトゲノム計画により構築された国際ヒト基準ゲノム配列は、短鎖リード型次世代シークエンサーを用いたゲノム解析の雛形として広く使用されています。しかし、国際ヒト基準ゲノム配列がもっぱらアフリカ系・ヨーロッパ系の検体から構築されたことで、日本人を含めアジア系のゲノム解析の雛形とする際に様々な不都合が生じていました。この論文では、超高深度な長鎖/短鎖リードシークエンス解析およびオプティカルマップデータを用いて日本人男性3名からゲノム配列を再構築し、統合することで日本人のゲノム解析に適した基準ゲノム配列の初版JG1を新たに構築したことを報告しています。
JG1は日本人の希少疾患患者の原因突然変異の探索や、日本人がん患者のがんドライバー遺伝子探索に有効であると期待されます。JG1およびその後継のJG2の配列は公開データベースjMorpで公開されています。
書誌情報
タイトル:Construction and integration of three de novo Japanese human genome assemblies toward a population-specific reference
著者:Jun Takayama, Shu Tadaka, Kenji Yano, Fumiki Katsuoka, Chinatsu Gocho, Takamitsu Funayama, Satoshi Makino, Yasunobu Okamura, Atsuo Kikuchi, Sachiyo Sugimoto, Junko Kawashima, Akihito Otsuki, Mika Sakurai-Yageta, Jun Yasuda, Shigeo Kure, Kengo Kinoshita, Masayuki Yamamoto, and Gen Tamiya
掲載誌:Nature Communications
掲載日:11 January, 2021
DOI: 10.1038/s41467-020-20146-8
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