この度、予防医学・疫学部門分子疫学分野で基礎医学修練の実習に取り組み、実習後も研究に励んでいる本学医学部の臼崎琢磨さんと東北メディカル・メガバンク機構の研究グループによる論文がJournal of Clinical Hypertension誌に掲載されました。
三世代コホート調査(TMM BirThree Cohort Study)をもとにした疫学研究の関連施設で測定した血圧(センター血圧),家庭で測った血圧(家庭血圧),診察室で測った血圧(診察室血圧)の3種類の血圧を妊婦さんにおいて比較した論文です。
先行研究では診察室血圧は家庭血圧よりも高いことが報告されています。これは白衣効果と呼ばれ,正確な血圧の評価を難しくする一因となっています。家庭血圧は再現性に優れ,正確な血圧の評価に適していますが調査参加者や患者さんが毎日自分で血圧を測定しなければならないという煩雑な側面もあり,家庭血圧に近い値を示す他の測定方法があれば研究の一助になると考えられます。
本論文では,ゲノム情報を用いずに表現型の情報のみを考慮してセンター血圧,家庭血圧,診察室血圧の3種類の血圧を比較し,センター血圧が家庭血圧と統計学的に有意な差がないという結果を得ました。この結果は地域支援センターのように疫学研究を目的とした環境の下で測定した血圧が家庭血圧の近似的な値として利用可能であることを示唆しています。今後は,検査データや疾患の症状とセンター血圧の関連を検討していきたいと考えています。
書誌情報
タイトル:Comparison among research, home, and office blood pressure measurements for pregnant women: The TMM BirThree Cohort Study
著者名:Takuma Usuzaki, Mami Ishikuro, Hirohito Metoki, Keiko Murakami, Aoi Noda, Fumihiko Ueno, Masahiro Kikuya, Taku Obara, Shinichi Kuriyama
掲載誌:The Journal of Clinical Hypertension
DOI: 10.1111/jch.14050
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